2017年01月09日

本当はこうだった「大坂の陣」(3)-大坂城西部方面陥落-

西暦1614年(慶長十九年)11月26日、徳川方は、豊臣方の鴫野村今福村(大坂城の外堀の北東。平野川の先)の砦や柵を落とし、大坂城の南西部と北東部において拠点を得ました。

徳川方は序盤戦の戦いをさらに有利にすべく、次の手を打ちます。

もともと豊臣方は木津川方面からの敵に対する備えとして、19日の戦いで徳川方の蜂須賀至鎮が落とした木津川砦(大坂城の南西部/大坂城の外堀河口)と、それを補完するため、その北西に博労淵(木津川と大坂城の間にある中洲/現在の大坂市西区立売堀付近)に砦を築き、薄田兼相(通称:隼人正/元秀吉の馬廻衆)に700兵をつけて守らせていました。

しかし、木津川砦が落ち、なおかつ鴫野や今福が落ちてしまっては、博労淵砦は北と南からの攻撃リスクをモロに受け、ほとんど孤立している状態でした。

そして兼相はそのことを未だ知りません。
知っていたら、この砦を維持する意味はほとんど無いため、早々に退却していたでしょう。また本陣も撤退命令を出すはずです。
こういう命令が出ていない時点で、当時の大坂城は本陣が本陣として正しく機能していないことがわかります。

徳川方としては、ここで博労淵砦を落とせば、大坂城の西部はほぼ徳川方の拠点になるため、戦いをさらに有利に進めることになります。

徳川家康は、博労淵砦の攻撃を決定し、水野勝成(日向守/三河刈谷3万石)永井直勝(右近大夫/近江7000石)に命じて、博労淵砦の西の木津川の川中に浮かんでいる狗子島(現在の大坂市西区江之子島)に攻撃準備のための塹壕を掘らせました。

11月28日、塹壕設備が完成したことを勝成が家康に報告すると、木津川砦を落としてそこに駐屯していた蜂須賀至鎮がこのことを小耳に挟みます。

「大御所様は今度は博労淵を攻めるのか。あそこを水野に取られて、俺の木津川砦を後ろから監視されるのは嫌だなぁ......」

至鎮はそう考え、博労淵砦を自分が落とそうと策略を巡らします。

まず至鎮は家康に

「博労淵砦の兵らしき連中が、生い茂った荻に隠れて自分の木津川砦銃撃してくるので、付近一帯の荻を刈り取らせて頂けないでしょうか?」

と伺いを立てます。
至鎮は、その萩の刈り取りのどさくさに紛れて、博労淵砦を落とそうと企んだのです。

しかし、家康はその真意を察しておりました。
家康は

「阿波守の申し分は神妙なり。されどそのようなことは我らの手(徳川家中)で行うので、しばし待たれよ」

として、徳川譜代の石川忠総(主殿頭/大久保忠隣の子/美濃大垣5万石)に萩の刈り取りを命じたのです。

忠総は芝を刈り取った後、狗子島の南の葦島に着陣し、博労淵砦に向けて銃撃を行い、博労淵砦の兵を牽制しています。そして家康はこの時、博労淵砦への攻撃命令を忠総に出しています。

慌てたのが至鎮です。
忠総のおかげで博労淵砦の兵が木津川砦へ攻撃してくることは無くなりました。

ですが、水野に手柄を立てさせないようにやったカラクリが、水野どころか石川まで加わったため、博労淵砦を攻める口実が完全になくなってしまったのです。

こうなるともう独断かつ強引に博労淵砦を攻撃するしか手がありません。

翌11月29日未明、石川忠総は九鬼守隆(長門守/志摩鳥羽3万5000石)から船を借り、一旦北方の狗子島に上陸して、博労淵の北へ渡り、攻撃を開始しました。

また同じタイミングで蜂須賀至鎮も木津川口から博労淵砦の南へ攻撃を開始したため、博労淵砦は北と南の両方から一斉に攻撃を受けたのです。

南北からの徳川方の攻撃は約5300兵と言われます。
対する博労淵砦は700兵。
7倍強の兵力を相手に、博労淵砦の守将・薄田兼相はいかにして立ち向かったのか。。。。

誠に残念ながら、

何にもしませんでした。

というのも、この時、兼相は

大坂市中の遊女屋に遊びに出かけていて、不在

だったんです。

のんきに遊女屋でイチャイチャしてるような余裕があるのか!と突っ込まれそうですが、木津川砦や鴫野・今福柵が徳川方に落とされた事実を知らなかったとすれば、「まだまだ戦は先のこと」と思い、ちょっと気分転換に遊びに......という気持ちもわからなくはありません。

何れにしても守将・薄田兼相のいない砦は、木津川砦の時と同様、ろくに統率も取れず、兼相に後を託された副将・平子正貞もろとも全滅するのです。

こうして大坂城は城の西側(木津川沿岸部)をすべて徳川方に奪われました。
この戦いにおいて、豊臣方が「統率がとれてない烏合の集団」であったことはもう明らかでした。

(つづく)
posted by さんたま at 11:35| Comment(0) | 本当はこうだった「大坂の陣」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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