2016年03月09日

真田丸解体新書(1)「国衆」について

先週、Facebookの自分のウォールで、大河ドラマ「真田丸」に出ている人物解説みたいなことをやったら、結構反応があったので、レキドラで1つカテゴリー作ってやってみようと思いました。

その名も「真田丸解体新書」

第1回の今回は、このドラマによく出てくる「国衆(くにしゅう)」についてです。
この名称には馴染みのない方が多いとは思いますが、学校の歴史の授業で出てきた言葉を借りると「国人(こくじん)」がそれに当てはまります。

......と言われてもピンとこないですよね(汗)。
順を追って話していきましょう。

まず、鎌倉幕府の時代、幕府に仕える直臣の武士を「御家人」と呼び、その御家人は幕府から領地を頂いていました。頂いた領地にはそれぞれ守護地頭という職務がありました。

守護は国内の治安維持と軍事権の行使、地頭の監督。
地頭は領内の行政・司法全般と税の取り立てが主な仕事です。

鎌倉幕府が倒れ、足利氏によって開設された室町幕府でも、最初の頃は守護・地頭制が維持されましたが、やがて幕府が、守護に自国内の経済的支配や司法権も移譲してしまったため、地頭の仕事がなくなっていきました。

こうして守護は治安維持、行政、司法、徴税などの国内におけるすべての治政の権利を保持し、いわゆる「守護大名」へと進化していきました。

一方で仕事を奪われた地頭は、次第に守護の支配下に組み込まれていきました。室町時代の地頭はその土地の有力武士が任じられているケースが多かったので、地元民ともなじんでおり、守護大名としても地頭を支配下に置いた方が治政には勝手が良かったのだと考えられます。

守護大名の支配下に置かれた地頭、これが「国衆(国人)」の始まりとされています。

つまり「国衆」とは、わかりやすく言えば、中央権力(この場合は室町幕府)によって封じられた大名とは違い、その土地に根付いた「おらが村の殿様」的存在ということになります。

西暦1467年(応仁元年)に起きた応仁の乱以後、室町幕府の将軍権力に陰りが見え始め、西暦1493年(明応2年)に、幕臣・細川政元(肥後細川家とは別の系統)が、主君である室町幕府11代将軍・足利義材の首をすげ替えるというクーデターが発生(明応の政変)すると、室町幕府に全国の守護大名を統率する力は完全になくなりました。

幕府権力によってその地位を保障されていた守護大名らですが、その大樹がなくなると、大名以上の実力を持っていた国衆たちにその地位を脅かされるようになります。そして力のない守護大名はその大名の地位を国衆にとって変わられ、「戦国大名」へと進化していくのです。

国衆から大名にのし上がることを「下剋上(げこくじょう)」といいました。
代表的な下剋上は、室町幕府の支所だった伊豆の堀越公方を滅ぼして伊豆一国を奪い、最終的に関八州まで支配を広げた後北条氏や、尾張国守護代の奉行職からのし上がって尾張国を統一し、織田信長の時代に畿内全域を支配下に置いた勝幡織田氏が挙げられます。

そうです、「真田丸」に出てくる後北条氏の北条氏政・氏直父子や、織田信長「国衆」の出身です。
一方で、真田氏の主家でもあった武田氏は、国衆の力をそぎ落としながら甲斐国を統一し、守護大名から戦国大名へ進化を果たした珍しい例で、「国衆」の出身ではありません。

ただ、後北条氏や勝幡織田氏多などのように戦国大名化した国衆はごく一部に過ぎず、多くの国衆は、いずれかの大名の支配下に入ることで、一族と所領を安堵してもらうしかありませんでした。

かくいう真田氏も信濃国(長野県)の土着豪族である滋野一族の傍流ですが、真田幸綱(昌幸の父)の代の時、西暦1541年(天文十年)の海野平合戦で武田信虎(信玄の父)らに敗れて領地を失い、一時、上野国(群馬県)箕輪城主・長野業正の保護を受けていました。

海野平合戦の翌月、武田家中で信虎嫡男・武田晴信(後の信玄)のクーデターが成功し、信虎は駿河国(静岡県)の今川氏に追放されました。武田晴信が武田氏当主となった以後、真田幸綱も武田氏に臣従し、晴信の信濃攻略に多大な成果をあげることになります。

その結果、真田氏は元々の領地を回復しただけでなく、幸綱四男・昌幸の代には武田の譜代衆の一人として数えられるようになったわけです。

しかしながら、織田信長の甲州征伐、そして本能寺の変によって、国衆としての真田は、織田、北条、上杉、徳川と主を転々と変えながら、真田一族を守るためにその知恵を絞ります。これが当時の国衆の普通の生き方であったのだと私は思います。
posted by さんたま at 00:51| Comment(0) | 真田丸解体新書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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